冬場に起こる凍害って何
凍害とは
寒冷地において外壁材、コンクリートに含まれる水分が凍結、融解を繰り返すことで
膨張、伸縮をおこすことで仕上げ面が劣化していく現象のをいいます。
主に極寒地域に多く0度以下の気温が何日も続く地域に発生してきます。
原因としては主に外壁の経年よるところです。
通常、外壁に起こりうる【ひび割れ】【腐食】【錆】などの現象のなかでも
最もやっかいな劣化の一つです。
凍害を放置すると建物の構造体までも被害を受けけることになって
修繕しようとした場合、多額の工事費がかかる恐れがあります。
発見をした場合、又は疑わしい場合はすぐにでも処置、対策をする必要があります。
凍害による代表的な現象の事例
凍害の症状 | 内容 |
スケーリング | コンクリート内、外壁の傷や劣化部分に入った水分が凍結・融解を 繰り返しセメントペーストが剥離してしまう現象です。 |
ひび割れ | 原因は上と同じで凍結・融解を繰り返すことでひび割れが発生する。 |
ポップアウト現象 | 仕上げ面が薄皿状に剥がれてくる現象。 |
以下の写真は多分、数年(5年)程度・・放置していたと思われる実際の外壁の状態です。
外壁の厚さの半分が凍害を受け、段ボール状になっていました。
ここまで放置していると、外壁を支える下地材も腐食していると思われます。
価格が高いくあまり使われていなかったであろう16㎜の金物留めの外壁材です。
手でこすっただけで剥がれ落ちてくる状態にまでなっていました。
写真で解るか微妙ですが、例えると濡れた段ボールのイメージです。
ここまで放置をしてしまうと、塗装も出来ない状態です。
早めにメンテナンスをしていれば、塗装だけで済んだはずです。
皆さんも見た目で異常を発見したら、とりあえず支障がないからと言って
放置するのはやめましょう。
この事例で言うと、塗装だけなら20万前後で対応出来る案件でした。
しかし、張り替えと下地の補修、コーキングの打ち換えなどで60万もかかってしまいました。
うちらプロから見るとなんて残念な結末かと、心が痛むところです。
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凍害をおこす原因
基本的な原因は水分を含んだ素材が凍結により膨張、縮小を繰り返すことで仕上げ面に障害をおこすといった所です。
コンクリート自体も凍害を受けることがありますが、やはり確率が高いのは
窯業系サイディングが多いと思われます。
どれもそうですが、初めのうちは機能をしっかり果たしてくれていますが、年数がたつにつれて
劣化が進んで表面の仕上げ材(塗膜)の効果がなくなり
その下地となるセメント系の材料が水分を吸収しやすくなってしまいます。
材料自体が水を含みやすくなると、水の入り込んだ個所では
気温が下がると凍結し、素材自体が膨張、縮小を繰り返すことで
モルタル、コンクリートにひび割れを起こしたり
仕上げに関しては、塗料が剥がれたり、盛り上がってきたり、仕上げに障害を引き起こします。
こうして発生した、ひび割れ、塗装の剥がれを凍害と呼びます
又、寒さの厳しくなる冬場は、関東などの平地でも発生することがあるので注意しましょう。
凍害は劣化することが原因となる場合が多いのですが
他にも原因があります。それは
仕上面(外壁)に物を立てかけたりすることで、傷がついたり、物をぶつけて塗膜が剥がれたりして
そういったことが引き金となり、凍害を受けることになる場合もあるので
壁にビス穴、物を立てかけるなどの行為は極力避けることです。
メカニズムとして
- 塗膜が劣化等により弱くなり内部に水分が流入
- 流入した水分が凍結、融解を繰り返す
- 凍結時の膨張により、その部分のモルタル、塗膜が障害が発生
- その障害がさらに浸食し構造体の内部までに入り込む
- 仕上げ材のモルタルは割れたり、欠落したり、塗膜では剥がれたり
- 一部がそうなった場合他の場所にまで浸食が進む。
というような流れでどんどん被害を悪化させていきます。
このような状況を発見したらすぐにでも専門家に見てもらうことをお勧めします。
処理が遅れれば遅れるほど広がっていきます。
凍害の発生しやすい場所
発生しやすい場所としては、建物の角の部分であるとか、サイディングとサイディングの継ぎ目部分など
は特に発生しやすいです。建物の角もサイディングの継ぎ目も、つなぎ目の部分であるため
製品不良が起きやすく、形状が安定しないことから凍害が発生しやすくなっています。
また、日射しがあまり当たらない箇所にも気を付けなければなりません。
建物の北側は特に日光を浴びることが少ないため、雨水を受けても渇きが非常に悪い箇所です。
日当たりの良い箇所であれば水分を受けてもすぐに乾燥しますが
北側の日の当たらない部分はそうでないため、冬場の凍結を招いてしまいやすいのです。
このように、凍害の発生しやすい箇所については特に注意して点検を行う必要があります。
凍害を起こさないための対策
定期的に仕上げをチェックする。
敵的なチェックで異常がなくても、保守点検を行う
以上に尽きると思われます。
対策とはいえ、お金がかかってくる場合があります。
凍害は見た目で解った時にはすでに浸食が進んでいる場合が多く、そうなってからでは対策と言えないのです。
素人目では解らない所に被害が及んでいる場合があります。
住宅では壁の塗装を定期的に行うべきですが、保守を定期的に実施されていれば
凍害の発生の防止にもなり、対策となります。
結局のところ凍害は一度起きてしまうと手が付けられないという状況にもなりうるのです。
凍害が発見され、部分的にそこを補修したとしても、またその周辺が同じことになって
どんどん広がっていく場合があります。
そのため、外壁の塗膜の効果がなくなる前に塗り替えをすることが最も有効な対策となります。
凍害を起こす前に対策をすることで防ぐことが出来るでしょう。
窯業サイディングの耐用年数とメンテナンス(塗り替え)時期
窯業サイディングはコンクリートやモルタルよりも凍害を引き起こしやすいのです。
メーカー保証は10年とされていますが、サイディング自体の対応年数は30~40年とされいます。
しかし、何もしないで30~40年という話ではないということを頭に入れておいてください。
この対応年数を保つためには、定期的にメンテナンスをする必要があるのです。
サイディングの場合塗装の塗り替えは8年程度としてメンテナンスをすることが望ましいかと思います。
当然何もしないでもつん場合もありますが、土地、気候、扱い方などで全く違ってきます。
一概に言えませんが、あくまで目安として8年位で塗り替えをした方がいいということです。
まとめ
いろいろお話ししましたが、未然に防ぐ対策をするということが重要となってきます。
それはメンテナンスに限ったことではなく、事故、災害だって起きる前に対策をするというのと同じで
定期的に外壁を点検し、水が走る場所や湿気の多いところを主にチェックすることです。
コンクリートは場合は、約10年位たったころで専門家にチェックしてもらうなどするといいでしょう。
窯業系サイディングの場合は、新築から8年程度で専門家にチェックしてもらうといいです。
凍害というのは、発生してしまうと建物の内部まで被害を及ぼしてしまうことがあります。
そうなった場合、大掛かりな工事になってしまいます。
最悪サイディングの張り替えだったり、サイディングの下地を補修しなければならない状況になったり
してしまいます。
そうならないためにも、早めの決断が必要となります。
しかし、決断する前に施工業者だから言えるポイントも是非参考にしてほしいです。