住宅の予算オーバーは優先順位を決めると解決できる
住宅を建てよう!改修しよう!・・・何かの工事をしようと計画したときに
必ずネックになってくるのが工事の金悪(予算)ではないでしょうか。
お金はいくらかかってもかまいません!
なんて、言える方はいいですが、ほとんどの人は予算というものを設定しているはずです。
その、予算がオーバーしそうであったり、予算がオーバーしたからといって
落ち込む必要はありません。
簡単に言ってしまえば、「何かをあきらめよう!」なのですが
諦めるにも何をあきらめるのかがポイントとなってきます。
予算オーバーするということは、より家の中身を精査するチャンスとも言えます。
この記事では、予算オーバーした時に知っておきたい
具体的な予算を減らす方法をご紹介したいと思います。
家づくりをする方は、ぜひ最後まで読んでいただきたいです。
後で手をかける事が困難なところ(優先順位高い)
住宅を建てようとした時に、自分が絶対譲れないことと
譲れないけど諦められることがあるはずです。
住宅にはいろいろな部材が使われていますが、構造材や断熱材、基礎の頑丈さなどに
又、サッシ、外壁なども後で変えようとしても、かなりの金額が発生するため
長い目で見ると、この辺にお金をかける事が一番効果を発揮します。
設備とは違い、予算をかけたからと言って実感はあまり出来ませんが
長い目でみると、効果は絶大です。
後から変更することが困難なところを優先順位を高くした方が良いのです
構造材や断熱材は、基本的に家が出来てしまえば見えなくなってしまう部分です。
構造材は家の耐久性や地震の際に家族を守ってくれるものになりますし
断熱材も家での快適さに大きく影響してくるので
劣化しやすいものを入れてしまうといつの間にか隙間がどんどんできていって
断熱材の役割を果たしていなかっただろうと思う実際の現場も見たりしてきています。
(実際にリフォームで壁を開けてみると、ほとんど役に立っていない
断熱材の入れ方などを見ることがよくあります。)
例1 断熱材
断熱材にもいろいろ種類はありますが、通常のメーカー、工務店で現在進めている
断熱材を使っていればとんでもなく、家の温度差に違いが出てくるかと言えば
そうでもないです。☜(体感上の話です)
ただ、現在は機械測定などオプションで計測できるようになっていますが
機械で測定されると、当然ですが差は数字として出てきます。
ここで、予算をかけるべきことは、密度の高いGW材を使うという事です。
注意
良い断熱材を使ったとしても、入れ方、処理が悪ければ、せっかくのGWの性能を
無駄にすることとなるので注意が必要です。
例2 外壁、屋根、サッシ
断熱材も同様に外壁や屋根、サッシも同じようなことが言えます。
ただ、構造材などを変えるというまでも、大変な事にはなりませんが
それなりに変えるとなると大変です。
外壁、屋根は単体工事で処理できますが、サッシはそうはいきません。
取り替えとなると内部の壁、外壁も壊さなければならないからです。
だだ、今は既存の枠を残し、その枠を利用して取付出来るサッシも出ています
カバー工法で工事をする場合は、サッシ単体での工事が可能となります。
また、外壁材や屋根材も安いものから高価な物までいろいろありますが
部材の耐久性はある程度価格にも比例してきます。
外壁で言えば、表面にコーティング処理されているなど
できれば時間が経っても劣化しづらくまた見た目も経年変化を
楽しめるものを選ぶのがベストと言えます。
後で取り換えようと思えば簡単に取り替えれる(優先順位低い)
前記事では、優先順位を高くした方がいいものを言ってきましたが
ここでは、優先順位の低いものを言っていこうと思います。
言ってしまえば、取り換えようと思えばすぐにでも取り換えることが
出来るようなことが当てはまります。
ズバリ!・・・設備機器です。
特に、キッチンやボイラーなどは10年ほどすると劣化が目に付くようになりますし
故障をしたり不具合が出てきて交換を考える必要が出てくるものです。
設備機器は、特にボイラーなどは基本的に住宅購入してから
2回は交換することになると思っていても良いでしょう。
どちらかというとボイラーなどの設備機器は消耗品という扱いになってきます。
合理的な視点で見ると設備にお金をかける優先順位は低くなってしまいます。
では、構造材など目に見えにくいところにお金を掛けて
設備機器の予算を抑えれば良い家ができるのかというと
そう簡単な話でもないところがまた難しいです。
設備機器は選ぶのが結構楽しく
こだわりたいという方も多くいらっしゃるからです。
たとえば男性は構造関係、女性は設備関係にこだわる方が多く
単純に予算の優先順位だけで家づくりを進めてしまうと
後で不満が残る結果になってしまうことも有り得ます。
設備機器は毎日使う物なので目につきやすく、最悪のケースでは設備機器を見るたびに
「本当は他のキッチンを入れたかったのに」など
不満を感じてしまうケースも起ったりします。
キッチンを安くしたために、食事を作る意気込みなど
ご飯のクオリティが下がってしまったなんてことになると
毎日、そんな気持ちでキッチンに向かうとなると
家事をする奥様の気持ちを考えると、こちらまで気分が下がる思いになってきます。
外構工事。(建物周りの工事)
最初に外構工事を全て終わらせられればベストですが
駐車場やアプローチなど生活するのに最低限必要な工事をしておけば
あとで塀を作ったり駐車場に屋根を付けたりというように
外構は手を加えることができるので、家の構造材など後で手を加えられない場所へ
優先的に予算配分するなどバランスを見ながら調整できるとベストです。
もちろん、外構は家の外観や庭の使い勝手
家の中からの眺めなど生活全般を豊かにしてくれるところなので
予算はカットしすぎないように。
また、家の見た目は家の本体が7割、残りの3割が外構で決まってきます。
木を1本植えて家の色彩に緑を加えるだけでも家の見た目はグッと変わってくるので
効果的な場所に予算を使っていきたいですね。
実際には住む方がどんな生活をしたいのか?それぞれの考え方で変わってきます。
住宅は完成して終わりではなく、住み始めてからがスタートです。
多少の後悔は誰しもがあると思いますが、出来ることなら後悔を
なるべく少なくしたいものです。
少なくしたうえで、快適で楽しい生活を新しい家ではしたいものです。
予算オーバーの解決方
優先順位の高いものと、引くものを整理すること
優先順位の高い案は出来る限り叶えたいですよね。
それすら叶わないのであれば家を建てる意味からの検討となってしまいます。
理想とする家のあり方など・・・全体のバランスを見ながら採用、不採用
もしくは代替案も取り入れながら、理想に近づけていきましょう。
これは間取りもそうですし、設備などの仕様決めにも同じことが言えます。
優先順が高い物は、思い切ってお金を掛けても後悔することはありません。
初心に戻ってみると、解るのですが、なぜあなたは今家を建てようとしているの?
それがそもそも、第一に優先するべき事です。
例えば・・暖かい家に住みたいからという理由なら、断熱にこだわる!
極端な話、それ以外はどうでもいいや!
何を望むのか?軸をぶれずに検討することで、予算オーバーにも対応出来てきます。
間取りをつくる際もそうですし、仕様選びでも同じ事が言えますが
家づくりの最初の段階では優先順位の低い物も
家の間取りであったり、業者が提案してくれた仕様の中に含まれている事が多くあります。
土地の広さの関係で家を大きくできなかったり
予算との差が大きいなど物理的に不可能な場合は間取りに反映できませんが
そうでない場合は優先順位の低い物も「できるだけ間取りの中に入れたい」と普通は考えます。
こうなってくると、家の中に優先順位が高いもの、低いものが
混在している状態になってきます。
これが叶わなかった分、これを叶えようとする心理に予算を調整するヒントが隠されています。
予算オーバーの対策
上の2つを比べると、どちらの方法が家ができてからの満足度が高いと思いますか?
自分は今まで、施工してきた物件でお客様からこここうすれば良かったなど
完成して数年も経てばいろいろな事を聞きます。
経験上こうした方がいいと言えるのは②の考え方です。
優先順位の低い物はきっぱりとあきらめて
優先順位の高い物にお金をかけた方が満足度が高くなります。
そして満足度を高くするためには、家づくりで納得できているかどうか。
この納得できているかいないかで、満足度は大きく違ってきます。
仕様を下げる場合は「仕方なく下げた」という感覚が残り
家が建ったあともイマイチスッキリしないケースが多いです。
インテリアで例えてみると、「予算が無いので、とりあえず価格の安い家具を揃えた部屋」
と言うイメージがその部屋に入るたびにそう思ってしまうものです。
家全体インテリアの仕様を下げた場合は視覚的にもよく目につくので後悔しやすくなってしまうんですね。
※仕様のグレードが見た目に比例するのが原因です
自分が優先順位を決めてここまでは必要!
必要な物、あきらめる物をハッキリした場合、家の仕様に影響はまったくありませんし
より必要な物が詰まった濃縮な空間となってきます。
必要だと思われるものが付いた、理想の住宅となると言いう事です。
そのため、満足度が落ちる事は無いのです。
このように予算がオーバーした場合、1度家の優先順位を振り返って見て
整理するのが1番の解決策となります。
優先順位を整理しても予算が合わないようなら、
「その工務店や住宅会社とは縁が無かった」、「家を建てる時期を遅らせ資金を貯める」
ということも選択肢に入れるべきなんですね。
住宅会社にとっては家を建ててもらいたいので、「仕様を落とす」ことを勧められることがありますが
その場合は「仕様を落としてまで家を建てたいのか」を
一度振り返ってみる時間を取ることをオススメします。
家づくりを進めていると何としても家を建てるという気持ちになりがちですが
どうしても予算が厳しい場合は一度冷静になって
考えるのも家づくりにとってはとても大切な段階の一つです。
これまで作業を止め、一度踏みとどまって一息つきましょう。
一度踏みとどまって、時間をおいて改めて家を建てられた方も数組見てきましたが
そのような方は最初に家づくりをしていた時と比べて要望も洗練され
完成した家の満足度がより高くなっているのがほとんどです。
家を建てることは目的ではなく、楽しい生活を送るための1つの手段。
これを忘れずに家づくりをしいってもらいたいです。
ここまで施工管理技士がお客様からの実際の世間話を元に
自分なりにまとめてきましたが、参考になるかどうか?
少しでも参考になってくれれば良いのですが
優先順位はあなたがどんな生活をしたいかでも変わってきたりします。
家は完成して終わりではなく、実際に住み始めてからが本当のスタートなので
住んでから後悔ばかりの生活ではなく、やっぱり楽しい生活を送って欲しいものです。
まとめ
今回は家の予算がオーバーした時の対応方法についてお話してきました。
合理的に考えた場合、後で手を加える事が難しい物であったり
メンテナンスが少なく済むものに予算を割り振るのが1番合理的ではないかと思います。
ただ、家は合理的な考え方だけでは満足する家はつくることが出来ないもの事実。
予算の壁にぶつかった場合は、もう一度優先順位を振り返って
自分にとって本当に必要なものですか?
こうすれば、必要ないので?
そんな、自問自答を繰り返し順位を決定していくと良いです。
その過程があることによって、より要望が凝縮された密度の高い家にすることが出来てくるはずです。
安易に全体的な仕様を落とすのは、あとで後悔する原因にもなってきてしまいます。
予算がオーバーしそうな場合、家の大きさも含めてぜひ一度優先順位を振り返ってみてください。