無落雪屋根ってどんなもの?
積雪地域では屋根に雪が積もることで、屋根からの落雪が問題となることが多くあります。
しかも、落雪だけではなく屋根に雪が積もることで住宅全体に負荷をかけることになります。
積雪地方(豪雪)においては対策をしなければ、屋根がゆがんだり、下地が折れたり
さらには屋根が崩壊するといった参事にもなりかねません。
無落雪屋根は建物周囲へ落雪(雨水を落とさない)をさせないための屋根!
と言っても良いでしょう。
通常の屋根であれば、3~4寸勾配ともなると、敷地境界線から2~3mは離さなければ
隣の家に確実に雪が落ちるでしょう。(屋根の形状によって、さらに離さなければならないでしょう)
そういった問題を解決するのが無落雪屋根と言う訳です。
「無落雪」「雪を落とさない対策屋」としては3つの方法があります。
以下ではその3つのパターンを紹介したいと思います。
無落雪屋根の種類は3つ
積雪地方では欠かせない屋根の形式ですが、それぞれの種類によって、特性が変わってきます。
ここではそれぞれの特性について解説したいと思います。
それぞれどのような特性を持っているのか説明していきたいと思います。
スノーダクト方式の屋根
この屋根の特徴は、屋根の中央(建物の中央)に向かって雨水、雪が流れるように造ったものです。
通常の屋根では屋根の中央(建物の中央)から外に向かって雨水、雪が流れるように造ります。
スノーダクト方式は、中央部がへこんだ形にすることで、太陽光で溶けた雪が中央のダクトに集められます。
ただ、極寒の地では太陽光では解けないため、熱線をいれて溶かしたりしなければなりません。
そうして溶けて集まった雪水を、ダクトを通して外に排出するという仕組みです。
ただ、デメリットとしてダクトに枯葉やゴミなどが詰まって排水を妨げてしまう事もありますので
1年に1回ほど定期的にダクトの点検をし、ゴミなどがたまっていた場合は
ダクト部分の掃除を行わなければなりません。
フラットルーフ方式の屋根
フラットルーフ方式とは、屋根の勾配を限りなく水平に近くすることで
勢いがついた状態で落雪しないように工夫された屋根です。
勾配がほとんど付いていないことで、降った雪はそのまま屋根に蓄積されていき
落ちたとしても、真下に落下するので軒の出が雪の落ちる場所と言っても良いでしょう。
そのため、軒には落ちる事はあっても、駐車スペースなど軒の出より離れた位置には
落雪することはないので敷地を有効利用できます。
スノーダクト方式とは違い、メンテナンスがそれほど必要ない点がメリット。
しかし、外向きに緩い勾配が付けられているため、氷柱や雪庇ができやすいというデメリットもある屋根方式です。
勾配屋根方式
勾配屋根方式とは、一般的な屋根に雪止めを設置する方式のことです。
単純に勾配屋根に雪止め金物を設置することで、雪の自然落下を防止します。
また、雪止めとして突起が付いた(ステイルーフ)形状の屋根材を使うケースもあります。
他の方式と異なり、一般的な屋根のデザインとなるため
見た目にこだわりたい場合に向いている方式といえるでしょう。
気を付けなければいけないのは、雪止めの許容量を越える荷重がかかったとき
金物ごと屋根から雪が落ちてしまうことがある点です。
その場合屋根にキズが付いてしまうというデメリットもあります。
家を無落雪屋根にするメリット
ここまで、無落雪屋根の形状を説明してきましたが、採用するにあたってのメリットを紹介していこうと思います。
屋根を無落雪屋根にする主なメリットは、以下の3点です。
雪下ろしが不要になり手間を削減
落雪が無くなる
雪止めの設置が必要なくなる
それぞれ順番に見ていきましょう。
雪下ろしが不要になり手間を削減
メリット1つ目は、屋根の雪下ろしの手間が無くなる点です。
通常屋根の場合、落雪や住宅にかかる荷重を軽減するための定期的な雪下ろしと
下ろした雪の除雪作業が必要になります。
しかし、無落雪屋根を取り入れることで、雪下ろしや落雪後の除雪といった手間がかかりません。
雪下ろし作業をする場合は、落下事故の危険性もあります。
北海道では雪下ろしによる事故で毎年数十名が無くなっています。
そのリスクを伴う雪下ろし作業を無くせる点が、無落雪屋根導入における最大のメリットと言えるでしょう。
落雪が無くなる
メリットの2つ目が、落雪が無くなることです。
屋根から雪が落ちることを想定する場合には、雪が落ちる先を考えなければいけません。
近隣住民の土地や、道路に落ちてしまってはトラブルが発生するケースが多々起こってくるでしょう。
つまり、自分の土地のどこかに雪を落とす必要が出てきます。
ですが、屋根いっぱいに溜まっていた雪の量は相当なもの。
必然的に落とすスペースもかなりの広さを確保しなければいけません。
無落雪屋根にすると、従来必要としていた落雪用スペースを自由に活用可能です。
また、落雪による事故やご近所トラブルを避けられるといった、二次的なメリットも得られます。
雪止めの設置が必要無くなる
メリットの3つ目は、落雪防止のために使われている雪止めを設置する必要が無くなる点です。
地域相場によっても変わってきますが、雪止めの設置に十万円前後の費用ががかかることもあります。
無落雪屋根にリフォームすると、他のメリットと合わせて急な出費がなくなることを覚えておきましょう。
無落雪屋根を取り入れるデメリット
無落雪屋根のメリットは、積雪量が多い地域で過ごす上で見逃せないものばかりでした。
しかし、物には必ずといって良いほど、デメリットも存在するわけです。
以下2点のデメリットを確認して、リフォームする際の検討材料にしましょう。
屋根にかかる負担が大きい
定期的なメンテナンスが必要
それぞれ、詳しく解説していきます。
屋根にかかる負担が大きい
1つ目のデメリットは、住宅への負担が大きい点です。
無落雪屋根は、降った雪をそのまま屋根上に留めておくのが基本的な考え方です。
つまり、相当の重量が住宅全体にかかり続けることになります。
中途半端な施工では、雪の荷重がドアや窓などに歪みをもたらし、開閉の妨げとなるかもしれません。
よって、屋根タルキの材料をワンランク上げたり、ピッチを狭くするなど
構造を補強する必要が出てくるので、費用が通常より多くなってきます。
よって、経験豊富で実績がある施工業者に依頼して家屋の負担を考慮した無落雪屋根にして貰いましょう。
定期的なメンテナンスが必要
無落雪屋根を採用する場合、1年に1回を目安に定期的なメンテナンスが必要です。
スノーダクト方式の屋根は、中央のダクトにゴミや枯れ葉が溜まることで、水が流れにくくなるケースがあります。
フラットルーフ方式なら、雨漏りの点検が必要です。
勾配屋根方式は、雪止めの設備が劣化していないか点検しなければいけません。
落雪や雨漏りのリスクを最小限に抑えるためには、定期的な掃除・メンテナンスが必要となってくるでしょう。
まとめ
単に無落雪と言っても、3種類の形式があることを解ってもらえたと思います。
その3種類の屋根にもそれぞれ特徴がありメリット、デメリットもあったりします。
そういったそれぞれの特徴を踏まえ、屋根の形を決定すると良いでしょう。
とにかく建物周囲へ雨水、雪を落としたくない方には最適な屋根となるはずです。