絶対見れない防火水槽内部の工事
防火水槽がある場所は、通常は周りに河川などが無くれ主要な水道が通っていない所に基本的に作られます。
消防車が放水を行う時に水源がちかっくになければ、水槽を内蔵した消防車や大型の水槽車両でしか
対応が出来なくなってしまいます。
そうなると、今そこで火災が起きてるにも関わらず、消火するための水がないということにつながってきます。
そのため消火活動に用いられる貯水施設や水源が消防法を根拠として定められています。
メンテナンスをする理由
防火水槽はそもそも水を貯めておく設備です。
年数がたつにつれて、防水性も衰えてきます。
水槽の防水性能が衰えてくると、当然外部に水が漏れ出してしまいます。
貯水槽は、住宅街はもちろん、デパートがある繁華街にも設置されています。
もし、街中で大量に水漏れが起きてしまったら、付近一帯が浸水してしまうことにつながってきます。
それを防ぐために定期的な点検、メンテナンスが必要となってくる訳です。
そうならないためにも、きちんと防水工事を施して、水槽設備を管理することが大切です。
防火水槽も築造してから20~30年と経過するうち、コンクリートの経年劣化や地震等の外力により
防水モルタルの剥離や、コンクリート躯体のひび割れによる逸水による水位の低下がみられるものが出てきます。また長い間に雨水に混入して流入した土砂の堆積により、貯水量の低下しているケースもあります。
コンクリートのライフサイクルコストの面からも、また火災時の貯水量確保の面からも
防火水槽の定期的な排泥作業やコンクリートのメンテナンスは重要なことと思います。
従来工法としては、排泥・洗浄の後、防水モルタルをハツリ落とし、洗浄した後防水モルタルを塗り直すのが
一般的な工法です。
下記に工程フロー図と工法の特徴示します。
どんな工程で施工をしていくのか
- 水槽内排泥
- 高圧洗浄(省略可)
- 既存防水モルタルハツリ
- 高圧洗浄
- 内部乾燥
- 接着剤塗布
- 防水モルタル塗り(下塗り)
- 防水モルタル塗り(仕上げ)
- 乾燥
- 防水材塗布
- 乾燥
- 完了となります
水槽内排泥
これは長年かけて蓄積した砂、泥、又劣化により防水材が剥がれ落ちたりしたものなどを排出する作業です。
水分が含んでいるため地上にてスコップですくい上げるのとは違い、かなりの重労働です。
しかも、スコップから落ちた泥は飛び跳ねるためズボンは泥まみれになります。
防火水槽内部から上がってきた作業員を見ると、申し訳なく思うくらい泥まみれになっています。
皆さんの安全を守るために、消火活動に直接的に関係しない人たちでさえも、つながりがあるってことですね。
既存モルタルハツリ
既存の防水モルタルの浮き部分のみを今回は撤去しています。
テストハンマーでこまめに浮いている部分をチェックしてそこをハツリます。
ハツリが終わったら、ハツリをかけていない既存の部分の付着物を取り除くためケレン作業を行います。
高圧洗浄
防水工事でも、塗装工事でもそうですが新設の場合は除きますが
修繕の場合は必ずと言っていいほど、高圧洗浄が必要になってきます。
防水工事の修繕は撤去したときの誇りや、いろいろいな付着物が表面に付いています。
高圧洗浄は下地の基礎と言っていいほど重要で高圧洗浄を行わなければ
後々の品質にも影響が出てしまうくらい重要です。
高圧洗浄を行うことで下地が綺麗になり、防水材との密着がより良くなります。
高圧洗浄を行わないで防水工事を行えば防水材が下地に密着しないのですぐに剥がれてきてしまいます。
当然ですが誇りの上に防水をしてもちゃんと密着しないのです。
誇りだらけのところにガムテープを張ってるようなイメージです。
なので品質を長く保つためにも必要な作業になるというわけです。
これが終わるといよいよ防水モルタルを施工する段階になります。
しっかりと内部を乾燥させます。
接着剤塗布・モルタル塗り(防水下地)
床、壁全体に接着剤を塗布していきます。
写真下部分がモルタルの下塗です。その上にまた防水モルタルを塗りつけていきます。
この作業が終わって初めて防水の施工が出来るようになります。
これもしっかり乾燥させなければなりません。
防水材施工
今回の防水材はパラッテックス防水材を使用しました。
防水材もメーカーによる工程を確実に施工していきます。
これで床、壁の防水の修繕工事が終了です。
たかがモルタルをと防水材を塗る!
それだけの工事ですが、こんなにも工程をこなして行かなければなりません。
まとめ
防火水槽や他の水槽などの防水工事は、私たちの生活を守るためにとても大切な工事です。
水槽の劣化をそのまま放置してしまうと健康被害や周辺環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、水槽から水漏れが発生して、いざというときに必要な水が使えなくなるかもしれません。
定期的に点検をおこなって水槽の水を衛生的に保つように日ごろ消防では点検をしています。
もし見かけることがあったら「ご苦労さまです」の一言くらいは言ってあげても良いのではないでしょうか。