工事請負契約書には必ず印紙税がかかってきます。
ただし、近年ではパソコンを使ってネットで完結することが増えてきています。
電子契約では印紙代を削減できます。
しかし、まだまだ電子契約を行っている企業は少ないです。
電子契約でなくても節税する方法はあるのでここで紹介します。
節税対策1 契約書に記載する金額を税抜表示にする
節税対策2 工事に係る契約書が別々にある場合、1冊としてまとめてしまう
節税対策3 電子契約にて契約する
以下ではそれぞれについて詳しく説明していきます。
工事請負契約の印紙税は契約金額の表記方法で節税になる
工事をお願いして、納得をして「この業者にお願いしよう」と確定したときは
その業者と工事請負契約を結ぶことになります。
工事請負契約書には基本的に印紙税がかかってくるので、契約書には印紙を貼る必要があります。
ここでは、工事請負契約書に貼る印紙税の節税方法についてお話します。
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工事請負契約に必要な印紙税額一覧
印紙税は、法律で規定されている文書を作成した場合に課税されるものです。
印紙税が課税される文書はいろいろあります(運送に関する契約・約束手形・証券)など
その中の1つに【請負に関する契約書】があり、工事請負契約書もそれに含まれます。
印紙税は契約書に書かれている契約金額によって決まります
【請負に関する契約書】の印紙税額表は下記のとおりになります。
記載された契約金額 | 税額 |
---|---|
1万円以上 100万円以下 | 200円 |
100万円超 200万円以下 | 400円 |
200万円超 300万円以下 | 1,000円 |
300万円超 500万円以下 | 2,000円 |
500万円超 1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超 1億円以下 | 60,000円 |
1億円超 5億円以下 | 100,000円 |
5億円超 10億円以下 | 200,000円 |
10億円超 50億円以下 | 400,000円 |
50億円超 | 600,000円 |
しかし・・・作成時期によって減税されています。
減税額は以下の表に記載しています
平成26年3月31日までに作成されたものは( )内の減税額。
平成26年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成された建設工事の請負に関する契約書については
軽減措置が設けられており、軽減措置後の印紙税額表は下記のとおりになります。
記載された契約金額 | 税額 |
---|---|
1万円以上 200万円以下 | 200円 |
200万円超 300万円以下 | 500円 |
300万円超 500万円以下 | 1,000円 |
500万円超 1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | (15.000)10,000円 |
5,000万円超 1億円以下 | (45.000)30,000円 |
1億円超 5億円以下 | (80.000)60,000円 |
5億円超 10億円以下 | (180.000)160,000円 |
10億円超 50億円以下 | (360.000)320,000円 |
50億円超 | (540.000)480,000円 |
工事請負契約の印紙節税の方法
税込み価格か税抜き価格の表記の仕方で節税
上記の印紙税額表に記載されている契約金額は、基本的に消費税込みの金額にて判断します。
しかし、契約書において消費税を区分して記載されている場合
税抜き金額をもって印紙税額表に当てはめることが出来ます。
上記表の印紙税額表に記載された契約金額とは・・・
基本的には消費税込みの金額により決定します。
詳細
この「記載金額」は、消費税および地方消費税の額(以下「消費税額等」といいます。)
を含んだ金額とされますが、次の文書については
例えば、以下に示すような記載方法で消費税額等を区分して記載している場合
または、税込価格および税抜価格が記載されていることにより
その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかである場合には
記載金額に消費税額等を含めないこととしています。
ただし、酒税や揮発油税などの個別消費税については、この取扱いは適用されません。
(1)第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)
(2)第2号文書(請負に関する契約書)
(3)第17号文書(金銭または有価証券の受取書)
(注)上記の「第1号文書」などは、印紙税法別表第1の課税物件表の課税物件欄に掲げる文書をいいます。
具体例
「消費税額等を区分して記載している」という事については
例えば、以下のような記載方法をいいます。
(例示の消費税額等は標準税率10パーセントが適用されるものとして記載しています。)。
- 請負金額 1,100万円(税抜価格 1,000万円 消費税額等 100万円)
- 請負金額 1,100万円(うち消費税額等 100万円)
- 請負金額 1,000万円 消費税額等 100万円 合計 1,100万円
記載例
「請負金額1,100万円うち消費税額等100万円」と記載したとします。
この場合、消費税額等100万円は記載金額に含めませんので、記載金額1,000万円の第2号文書となり、印紙税額は10,000円となります。
また、「請負金額1,100万円 税抜価格1,000万円」と税込価格および税抜価格の両方を具体的に記載している場合についても
消費税額等が容易に計算できることから、記載金額は1,000万円となります。
しかし・・・
消費税額等について「うち消費税額等100万円」ではなく、「消費税額等10パーセントを含む。」や「請負金額1,100万円(税込)」と
記載した場合には、消費税額等が必ずしも明らかであるとは言えませんので
記載金額は1,100万円として取り扱われ、第2号文書の場合、印紙税額は20,000円となります。
※上記印紙税額表の一部抜粋
500万円超 1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 20,000円 |
設計請負を工事請負契約書に織り込んで印紙税を節税する
請負に関する契約書のうち、工事請負契約書については軽減措置が設けられていますが
設計請負契約書については、軽減措置は設けられておりません。
そのため、設計請負契約書を作成した場合には、工事請負契約書より高い印紙税が課されてしまいます。
しかし、設計業務など建設工事以外の事項を工事請負契約書に併記した場合には、その契約金額の全額が軽減措置の対象になります。
たとえば、工事請負金額が8,000万円、設計請負金額が500万円の場合、それぞれの契約書を作成した場合。
設計請負金額
300万円超 500万円以下 | 2,000円 |
5,000万円超 1億円以下 | (45.000)30,000円 |
- 工事請負契約書 印紙税30.000円
- 設計請負契約書 印紙税2.000円
になりますが、工事請負と設計請負のそれぞれの契約を作成せず、工事請負契約書に設計請負を織り込んだ場合には、
工事請負契約書 印紙税30,000円
となるため、設計請負契約書の分の印紙税を節税することができます。
電子契約を利用する
この方法は電子契約を行っている企業でなければなかなか難しい方法です。
しかし、利用している場合は印紙税をゼロにすることができるのです。
但し、企業が電子納品システムを導入していた場合です。
まだまだ、電子契約は個人情報流失などの不安要素があったりします。
マイナンバーカードについても同様、今では積極的に登録する方も増えてますが
システムの開始時期は目に見えない不安要素がたくさんあり敬遠されるものです。
電子契約に関しても、企業はその不安を抱きながら推奨している状況です。
国税庁の税金に対しての一文を抜粋
国税庁ホーム 別紙1-3
《別表1-3》一部抜粋
本注文請書は、申込みに対する応諾文書であり、契約の成立を証するために作成されるものである。
しかしながら、注文請書の調製行為を行ったとしても、注文請書の現物の交付がなされない以上
たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても
ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから
印紙税の課税原因は発生しないものと考える。
ただし、電子メールで送信した後に本注文請書の現物を
別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には
課税文書の作成に該当し、現物の注文請書に印紙税が課されるものと考える。
まとめ
工事請負契約書の印紙税を節税する方法を説明してきました。
基本的には消費税を明記する
設計業務を工事請負契約書に混ぜ込む
電子契約を利用
といったようなちょっとした記載の仕方によって印紙税は変わってくることがあります
少しでも印紙税を節税するために、契約書を提出された際は
そういったところを確認してみるとよいでしょう。